これは、リュック・ベッソン製作による台湾を舞台にしたアクション映画。
　出演は「ＡＮＡ アナ」のルーク・エヴァンス、「ワイルド・スピード」シリーズのサン・カン、ヒロインに「ディア・ストレンジャー」のグイ・ルンメイ。監督は「ザ・プロデューサー」のジョージ・ホアン。

　ＤＥＡ（麻薬取締局)捜査官ジョンは、麻薬密売の潜入捜査に失敗するが、取引に台湾の水産長者・クワンが絡んでいると言う手掛かりを掴む。直後、クワンの帳簿データを持つという匿名メールがジョンのもとに届き、ジョンは上司に内緒で、休暇と称して台湾へ飛ぶ。
　ジョンは、メールの送り主と接触を図るが、それはクワンの継子のレイモンドだった。そして、彼の母で、クワンの妻はジョーイ……彼女は、ジョンが十数年前に台北の捜査で出会った組織のスゴ腕の“運び屋”で、彼が恋に落ちた女性でもあった……

　この映画、かつてのリュック・ベッソンが量産していたＢ級アクション映画の再来、と言う所になるでしょうか……冒頭から、厨房で格闘、カーアクションに始まり、銃撃戦に逃走劇と、様々なアクションを手を変え品を変えして見せるのはなかなかです。特に、今回は中国系のアクションチームが入っている事もあってカンフーアクションを取り入れ、格闘を時にコミカルに見せるのも楽しめる部分です。
　また、舞台となる台湾を、華やかな大都市から、雑然とした下町、ひなびた漁村から山の中まで、様々な角度で見せているのもよいと思いました。
　そして、大人向け娯楽アクション作として欠かせない“アクション”、“車”、“お色気”の三要素の内、“お色気”は、グイ・ルンメイひとりが担当……冒頭、まるで「ティファニーで朝食を」のオードリー・ヘップバーンを思わせるドレスアップした姿で、最新のフェラーリをブッ飛ばすシーンに始まり、こちらも様々な表情を見せてくれるのですから、「藍色夏恋」以来、彼女を追いかけている自分としては期待以上でしたし、堪能もしました。

　ただ、映画としては、やはりＢ級と言わざるを得ないでしょう。
　アクションをテンポよく見せてくれるのはよしとしても、物語は類型的ですし、折角、グイ・ルンメイを主に据え、彼女が持ち味の薄幸さを見せて悲運のヒロインを演じているのに、彼女を巡る２人の男の関係に三角関係のロマンスを作れていないなど、粗さも目立つのです。
　それでも、グイ・ルンメイも、そしてカーアクションもたっぷり見せてくれたので楽しめたのは確かなのですが……
　

　（２０２５年　１０月２５日　ユナイテッドシネマみなとみらいにて）

（作品データ）

　■監督・脚本

ジョージ・ホアン

　■出演

　ジョン　・・・　ルーク・エヴァンス

　ジョーイ　・・・　グイ・ルンメイ

　クワン　　・・・　サン・カン

（その他のキャスト）
　ワイヤット・ヤン　　パーネル・ウォーカー

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クールに、ぶっちぎれ！

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