バレリーナ：The World of John Wick
ＢＡＬＬＥＲＩＮＡ

　これは、キアヌ・リーヴス主演の人気アクション「ジョン・ウィック」シリーズのスピンオフ作品。
　主演は「ナイブズ・アウト」のアナ・デ・アルマス。監督は「ダイ・ハード４．０」のレン・ワイズマン。

　孤児たちを集め、表向きはバレエ団として活動しながら、闇家業のボディガードを養成する犯罪組織“ルスカ・ロマ”……伝説の殺し屋、ジョン・ウィックを生み出した組織でもある“ルスカ・ロマ”に拾われたイヴは、幼い頃、“教団”に父を殺されていた。
　“ルスカ・ロマ”のボディガードとして初仕事に臨んだイヴは、襲撃者に“教団”の印を見つける。“ルスカ・ロマ”は“教団”とは休戦の協定を結んでいたが、イヴは、掟を破って父親の復讐に立ち上がる。しかし、そんなイヴの前に、あの伝説の殺し屋が現れて……

　本作は「ジョン・ウィック」シリーズのスピンオフ作品だけに、徹頭徹尾、殺し屋アクションの連続……物語もまた「ジョン・ウィック」だと思えばいいでしょう。掟に縛られた殺し屋世界に、“復讐”と言う個人的な事情を持ち込んで、掟を破ったが故に孤立無援の戦いを続ける羽目になる、と言うものとなるのです。
　そんな物語に特筆すべきものはなく、ほとんどはアクションを生み出す状況設定のようなものと言えます。
　タイトルとなっている「バレリーナ」にしても、イヴは“ルスカ・ロマ”で１２年を過ごした後でさえ、満足にポアントも出来ない有様なのですから、彼女が何をやって来たかが判ると思います。

　銃撃戦を近接戦闘に持ち込み、カンフーのように見せる「ガン・フー」アクションは、この「ジョン・ウィック」シリーズが確立した、と言っていいものではないか、と思います。（香港映画に端を発し、「リベリオン」で描かれた「ガン・カタ」があるにせよ）
　そして「ジョン・ウィック」シリーズの新作として、本作に期待するのはやはり斬新なアクション。今回は、主人公が女性と言う事で、力任せの技は出せず、敵の力を利用して倒す、まるで柔道のような動きが基本になるのは、新鮮で、それでいて見応えがあります。そして、新たな取り組みは、手榴弾と火炎放射器を近接戦闘に持ち込む事、そしてスケート靴の活用となります。
　手榴弾の使い方のエグさ、火炎放射器の凶悪さと共に感じる意外な痛快さ！（正に「汚物は消毒だぁ！」です）そして、氷上で、スケート靴を使ったアクションは地味だけど、これまたアイデアと工夫を感じさせるものでした。

　復讐を成し遂げ、今度は追われる立場となったイヴですが、「ジョン・ウィック」シリーズの中での立ち位置は難しいものがあると思います。
　アナ・デ・アルマスの奮闘ぶりは見事なものではあったけど、本作の続きはないのではないでしょうか。
　

　（２０２５年　８月２２日　１０９シネマズゆめが丘にて）

（作品データ）

　■監督

レン・ワイズマン

　■出演

　イヴ　・・・　アナ・デ・アルマス
　
　ジョン・ウィック　・・・　キアヌ・リーブス

（その他のキャスト）
　アンジェリカ・ヒューストン　　ガブリエル・バーン　　ランス・レディック　　カタリーナ・サンディノ・モレノ
　ノーマン・リーダス　　イアン・マクシェーン

　■コピー

復讐が舞う

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