ポーカー・フェイス
　　　　　裏切りのカード

　これは、ラッセル・クロウが、監督×主演を務めたサスペンス。

　ギャンブラーだったジェイクは、オンライン・ポーカーゲームの開発により莫大な富を得て億万長者となった。ある日、彼は疎遠だった幼なじみたちを自身の邸宅に招待し、高額のポーカーゲームを開催しようと持ち掛ける。
　最初は昔話に花を咲かせていた参加者たちだったが、いつしか冷や汗が流れ出し、やがて発熱と吐き気に襲われる。そこでジェイクは彼らに「毒を盛った」と告げるのだった。
　そこに、邸宅の美術品を狙う侵入者まで現れ、事態は思わぬ方向へ……

　この映画、物語としては、決して復讐劇などではなく、人生の終わりを迎える男が自身の人生を清算する映画なのですが、これはさすがにだめでしょう。
　独りよがりな物語に、様々な要素を整理もせずに突っ込んだかのような煩雑で、混乱した内容、冗長な展開とリアリティのないディティール……そうして描かれる物語の結末は、ラッセル・クロウ自身が演じる、大富豪で人格者の主人公が全ての問題を解決して、みなを幸せにする、と言うものなのです。
　確かに、俳優が自ら監督を手がけると、己ばかりを引き立てる”俺様映画”となる事は珍しくないが、ここまで極端なものはそうはないのではないでしょうか？
　まるで、ラッセル・クロウが自画自賛する自慢話に付き合うような映画で、ラストシーンには文句のひとつも言いたくなるような映画でした。　
　

　（２０２４年　３月　３日　Ｋｉｎｏシネマみなとみらいにて）

（作品データ）

　■監督・脚本

ラッセル・クロウ

　■出演

ジャック・フォーリー　・・・　ラッセル・クロウ

（その他のキャスト）
　リアム・ヘムズワース　　ＲＺＡ　　エイデン・ヤング　　スティーヴ・バストーニ
　エルサ・パタキー　　ジャック・トンプソン

　■コピー

タイムリミットは４８時間。
生死を賭けたゲーム。

［戻る］