ＡＲＧＹＬＬＥ
アーガイル

　これは、「キングスマン」シリーズのマシュー・ヴォーン監督によるスパイ・アクション。
　「ジュラシック・ワールド」シリーズのブライス・ダラス・ハワード、「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェルのＷ主演で、共演は「ジャスティス・リーグ」のヘンリー・カヴィル、「ウェストサイドストーリー」のアリアナ・デボーズ、「バービー」のデュア・リバ、そしてサミュエル・Ｌ・ジャクソンと言う豪華なキャストとなっています。

　人気スパイアクション小説「アーガイル」の作者、エリー・コンウェイ。新作のラストシーンを母親に酷評されて執筆に行き詰まり、愛猫のアルフィーと一緒に実家に帰省するための移動中に、突如謎の男たちに命を狙われる。
　そこに、エイダンと名乗る猫アレルギーのスパイを自称する男が現れ、助けられる。その後も身の危険に脅かされ逃げ惑ううち、エリーが書いた小説が現実のスパイ組織の行動を予測していた事が発覚して……

　この映画ですが、内容をなかなか書けないのが辛い所――内容としては、シリアスなスパイ・アクションと言うより軽妙なアクション・コメディなのですが、次から次へと迫る危機、そして、ドンデン返しの連続で、全く予測もつかない面白さがあります。
　アクションは手に汗握る、と言うよりはポップでコミカルな演出で、ほとんどギャグマンガに近いような演出を実写で見せて来る感じ……いささかＶＦＸは安っぽく、合成も見え見えだったりするのですが、それもまた味でしょう――ただ、マシュー・ヴォーン監督、「００７」シリーズを監督する事を熱望しているそうなのですが、こんな演出をやるからオファーが来ないのではないか、と思ってしまうのですが。
　大量のスモークの炊かれる中、ポップな音楽をバックに大量殺人……と言う演出は「キングスマン」でもありましたが、本作はそれを更に進化させていますし、フィギュア・スケートをアクションに盛り込む、と言うアイデアはもう絶句もの。思わず笑いそうになってしまいました。

　惜しいのは、主演のブライス・ダラス・ハワードが以前よりもボテっとした体格になってしまっている事（終盤、冒頭のデュア・リバと同じ衣装を着たりするから猶更目立ってしまいます）で、どうにもアクションにキレがない――贅沢を言わせてもらえば、エリー役がシャーリーズ・セロンだったら文句なしなのに……

　ラストは「キングスマン」に絡めて、続編を匂わせました。このノリ行くのであれば楽しみにしたいと思います。
　

　（２０２４年　３月　２日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督

マシュー・ヴォーン

　■出演

エリー・コンウェイ　・・・　ブライス・ダラス・ハワード

アーガイル　・・・　ヘンリー・カヴィル

エイダン　・・・　サム・ロックウェル

（その他のキャスト）
　ブライアン・クランストン　　キャサリン・オハラ　　デュア・リパ　　アリアナ・デボーズ
　ジョン・シナ　　サミュエル・L・ジャクソン

　■コピー

一流スパイは世界をダマす。

［戻る］