これは、金沢の加賀温泉を盛り上げるために結成された旅館の女将たちによるプロモーションチームから着想を得て映画としたもの。
　主演は、実写版「魔女の宅急便」の小芝風花。監督は、「レッドシューズ」の雑賀俊朗。

　加賀温泉の老舗旅館「ひぐち」の一人娘、樋口由香は、上京してタップダンサーを目指していたが、なかなか舞台に立てず、「母が倒れた」の知らせを機に、実家に戻って女将修行を始める事になる。
　そんな中、役場が加賀温泉を盛り上げるための企画を求め、由香は酔った勢いで、新米女将たちによるタップダンスのイベントを開催することを提案するが……

　この映画、よくある地域振興映画なのですが……タイムリーとは言い難いのですが、能登震災の直後の公開となり、「興行収入の一部を石川県の震災復興に寄付します」と、思わぬ形で存在感を示す事になってしまいました。
　内容としてはベタだし、トリックスター役の観光アドバイザーも悪目立ちが過ぎ、どうにも垢抜けない仕上がりです。ただ、ベタな内容だけに、最後のステージに向けた母娘のエピソードはさすがに泣けました。

　主演の小芝風花は、撮影前に数か月タップダンスの特訓をしたとは言え、正直、ソロで舞台に立てるレベルではなく、彼女のステージはさすがにちょっと辛かったです。最後のステージ、舞台に水を張って、タップではなく、水しぶきを上げる演出も苦し紛れとしか思えませんでした。

　あと、このタイトルなら、ステージの最後、締め曲は「ボーン・ディス・ウェイ」でしょう……それで、「これが私の生きる道」と歌い上げてくれれば、感動も深まったように思うのですが。　
　

　（２０２４年　２月１４日　新宿ピカデリーにて）

（作品データ）

　■監督・脚本

雑賀俊朗

　■出演

樋口由香　・・・　小芝風花

樋口春美　・・・　檀れい

（その他のキャスト）
　松田るか　　青木瞭　　中村静香　　八木アリサ　　奈月セナ　　小野木里奈　　水島麻里奈　　佐藤藍子　　森崎ウィン

　■コピー

新たな夢に向かって踏み鳴らせ
　　　　　　おもてなしのリズム

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