ＡＭＢＵＳＨ
アンブッシュ

　これは、ＵＡＥ（アラブ首長国連邦）製作の実話に基づく戦争アクション映画。
　出演はＵＡＥで活躍する俳優たちだが、監督は、「９６時間」のピエール・モレルが務めています。
　
　２０１８年、イエメン内紛収拾の為に出動し、イエメン南部に駐在するＵＥＡ陸軍部隊は、戦闘地帯の住民支援と、治安維持活動に従事していた。
　そんなある日、パトロール中の軽装甲車が、敵の待ち伏せに遭って行動不能となってしまう。反政府組織の捕虜となり、交渉材料を与える事を危惧する軍司令部は、救出部隊を編成するが、その救出部隊もまた攻撃され、戦闘は泥沼化して行く――果たして軍は全員を無事救出できるのか……？

　この映画、ＵＡＥ映画と言う事で、出演俳優に馴染がなく、しかも、リアル指向の戦場群像劇、と言う内容から、主人公もはっきりせず、視点も複数で、物語は判り易くありません。
　しかしながら、現用兵器てんこ盛り、しかも、ＣＧを極力使わず、実際に銃撃・破壊・爆破を現物で見せるアクションは見応えがあります。そして、撮影や編集なども一級品で、さすがは「９６時間」のピエール・モレル、見せ方が上手い。
　ドラマとしての盛り上がりに欠ける部分はありますが、現在の陸上近接戦闘と言うのがどう言うものなのか、それを変に演出することなく、リアルに見せているのも好印象です。

　ただ、終盤、戦死者を巡る描写と、遺体の本国移送シーンを妙に感動的且つ感傷的に描くのは、いかにもな軍のプロパガンダ映像に見えるのが気になりますが、それはまぁ、これだけ軍の協力を得ている以上、仕方ない事でしょうか。
　

　（２０２４年　１月　５日　川崎チネチッタにて）

（作品データ）

　■監督

ピエール・モレル

　■出演

マルワーン・アブドゥッラ・サーリフ　　ハリーファ・アル・ジャースィム　　ムハンマド・アフマド　　アブドゥッラ・サイード・ビン・ハイダル　

　■コピー

３６０度、敵だらけ。

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