ＲＥＡＬＩＴＹ
リアリティ

　これは、トランプ政権下で、“第二のスノーデン事件”と呼ばれた情報流出事件を描いたもので、元空軍兵士のＮＳＡ女性職員が、ＦＢＩ捜査官の尋問を受け、逮捕されるまでの約２時間をほぼリアルタイムで再現したもの。劇作家ティナ・サッターによる映画監督デビュー作となります。
　主演は最近注目されている若手女優、シドニー・スウィニー。

　２０１７年、国家安全保障局（ＮＳＡ）契約社員で、元空軍兵士のリアリティ・ウィナーが買い物から帰宅すると、２人の男性に声をかけられる。笑顔を見せて自らＦＢＩ捜査官だと名乗る彼らは、ある事件に関する捜査を行っていると告げる。
　気さくで穏やかな口調のまま何気ない質問を繰り返す彼らだったが、会話は徐々に不穏な空気を帯び、問題の核心へ切り込んで行く……

　これは凄い面白い映画だと思います。
　そこで描かれるのは、ＦＢＩ捜査官による尋問の実態で、それを実際の調書と録音音声から、リアルに再現しているのです。こんなシーンは、まず見られないものでしょう――勿論、日本の警察のものも見た事はありませんが……

　そして、こんな取調べ内容を情報公開してしまうアメリカって言う国も凄いし、それを元にこんな映画を作ってしまうのも凄い。
　映画パンフレットでは、解説の日本の元警官が「ＦＢＩの尋問テニクックの実態を見られるのは興味深い」と語っていましたが、正にその通り、と思いました。
　会話だけの静かな映画でありながら、その緊迫感は尋常ではなく、その内容、そしてこれが映画として製作された意味を含め、これは現在、観る価値のある１本だと思います。


ＰＳ
　元軍人とは言え、２５歳の女性が、枕の下にグロック９、クローゼットにＡＲ１５とレミントンを置いてる、と言うのがさすがアメリカだなぁ、と思ってしまったり…… 　
　

　（２０２３年　１２月１５日　シネマジャック＆ベティにて）

（作品データ）

　■監督・脚本

ティナ・サッター　

　■出演

リアリティ・ウィナー　・・・　シドニー・スウィニー

（その他のキャスト）
　ジョシュ・ハミルトン　　マーチャント・デイヴィス

　■コピー

正義感は、悪なのか

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