ＭＥＧ　ザ・モンスター２

　これは、かつて古代の海に存在していた巨大ザメ“メガロドン”の恐怖を描いた海洋パニック「ＭＥＧ ザ・モンスター」の続篇。
　主演は、ジェイソン・ステイサム、共演は「戦狼」シリーズや「長津湖」のウー・ジン。監督は「レベッカ」のベン・ウィートリー。

　環境活動に従事するプロの潜水士、ジョナス・テイラーは、海洋研究チームと、約１０キロの海溝の底を目指して潜航――“人類未到の地”である彼らがそこで見たものは、謎の海底施設だった。
　そこで、彼らは突如爆発に見舞われ、潜水艇が行動不能となってしまい……

　本作は、前作同様、米中合作のアクション映画なのですが、これは思った以上に中国映画でした。
　なにしろ、今回は共演が「戦狼」のウー・ジンで、米中アクションスターの競演となるのですが……”戦狼”が、どんなムチャしても死ぬ訳ありません（もし死んだりしたら、それこそ国際紛争が起きかねません）。この２人ならどんな無茶しても大丈夫、と言う安心感はアクション映画のスリリングさを欠くように思えてなりません。
　また、アクションも撃ち合い・ドツキ合いのハリウッド流より、飛んだり跳ねたり、そして吊り下がったりと言う中国流……しかも、ヒロインはジョナスの義理の娘で１４歳、とロマンスを排除しているのもまた中国流でしょうか――ただ、この子、妙に老けていて、あまり可愛くないんだよなぁ……

　そして、荒唐無稽の度合いは1作目に増して酷いです。生物学的にはほぼ全て間違っていて、最早ツッコミを入れる気にもならないくらいですし、科学的にも、深海の水圧で破損した潜水服が爆縮して人体が潰れる描写をした後で、ステイサムならば生身で泳ぎ出しても大丈夫、と言う、無茶を通り越したご都合主義には呆れる他ありません。

　物語としては、深海サバイバルとなる前半は、展開の荒唐無稽さもあって、サスペンスが盛り上がらず、ちょっとシラけてしまったのですが、爆発と共に浮上したメガロドンが、その他のモンスター（そう、今回、数と種類が増えています……だから”モンスターズ”なのです）が、お約束のビーチリゾートを襲うクライマックスの大騒ぎは、さすがに勢いもあって悪くとは思います……ただし、映画ではなく、アトラクション的には、ですが。
　いずれにしても、最初っから最後まで考証も何もない荒唐無稽ぶりと、それ故の脳天気さは、さすがに観る人を選ぶだろう、と思います。　
　

　（２０２３年　８月２９日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督

ベン・ウィートリー

　■出演

ジョナス・テイラー　・・・　ジェイソン・ステイサム

（その他のキャスト）
　クリフ・カーティス　　シエンナ・ギロリー　　ウー・ジン　　ペイジ・ケネディ　　スカイラー・サミュエルズ

　■コピー

絶叫を楽しめ。

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