ＴＨＥ　ＳＵＰＥＲ　　
ＭＡＲＩＯ
ＢＲＯＳ．
　　　　　ＭＯＶＩＥ
ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

　　これは、イルミネーションと任天堂が共同で制作する、人気ゲーム「スーパーマリオ」の長編アニメーション映画。
　監督は「ティーン・タイタンズＧＯ！トゥ・ザ・ムービー」でタッグを組んだアーロン・ホーヴァスとマイケル・ジェレニック。
　出演は、マリオに「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」のクリス・プラット、ピーチ姫に「ザ・シェフ」のアニャ・テイラー＝ジョイ、ルイージをチャーリー・デイ、クッパをジャック・ブラック、ドンキーコングをセス・ローゲンと言うなかなかの豪華キャスト。

　ニューヨークで配管工を営む兄弟マリオとルイージ。ある日、水道管破裂の修理の為に出動、下水溝に向かった兄弟は、地下で謎の土管に吸い込まれ、迷い込んだのは、不思議と魔法に満ちた異世界だった……

　この映画、米国公開に先立って行われた試写会で批評家から酷評（ロッテントマトで48/100点）されたのにも関わらず、公開されたら大ヒットを飛ばし、既に世界興行１３００億円を超えた、と言う話題作。
　確かに、映像の出来は素晴らしいと思います……映像の見事さとしてはイルミネーションの３Ｄアニメとして最高レベルにあるでしょうし、見せ方としても、往年の横スクロール画面のような水平移動や、ゲームの中に入ったような臨場感と、様々に工夫を凝らして見せてくれます。キャラクターも、お馴染みのものなのでしょう――ただし、自分はゲームをほとんどやらず、特に「スーパーマリオ」は一度もプレイしたことがないので、よく判らないのですが……
　また、キャストも豪華で、その見せ場も、例えばクッパであれば、ピーチ姫への想いを引き語りのピアノに乗せて熱唱する、ジャック・ブラックならではのシーンを作るなどあって楽しめます。

　その一方で、物語はかなり弱い。華麗なビジュアル、思わぬ展開、勝利の歓喜と、ゲーム的によく出来ているのは判りますが、その背後に心動かすドラマがなくては、やはり物足りないのです――恐らく、ロッテントマトの批評家が酷評したのもそうした部分でしょう……実際、自分など、この賑やかな映画で、中盤眠くなってうとうとしてしまったほどなのですから。

　とりあえず、これは任天堂のゲーム世界に馴染のある人向けの映画なのでしょう……そして、任天堂のゲームをやった事がない人間の方が少数派なのでしょうから、その狙いは間違ってはいないのだろうけど、自分はそこに含まれていなかった、と言うのは理解出来ました。

　

　（２０２３年　５月　２日　Ｔ−ＪＯＹ横浜にて）

（作品データ）

　■監督

アーロン・ホーヴァス　　マイケル・ジェレニック

　■出演

マリオ　　 ・・・　クリス・プラット
ルイージ　・・・　チャーリー・デイ

ピーチ姫　・・・　アニャ・テイラー＝ジョイ

クッパ　・・・　ジャック・ブラック

（その他のキャスト）
　キーガン＝マイケル・キｰ　セス・ローゲン　　フレッド・アーミセン　　ケヴィン・マイケル・リチャードソン　　セバスティアン・マニスカルコ

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