これは、殺し屋女子コンビの日常と仕事を描き、２０２１年に異例のロングラン上映された映画「ベイビーわるきゅーれ」の続編。
　監督は勿論、阪元裕吾。伊澤彩織と��石あかりのコンビも変わらず出演。本作では、ジョン・ウー監督作「マンハント」などに携わってきた園村健介がアクション監督を務めています。

　殺し屋協会の寮を出たちさととまひろのふたりは、同居生活を続けていたが、協会のジムの会費に教習所代、保険のプラン変更など、世の中お金がかかることばかりで、生活は困窮していた。
　一方、殺し屋協会アルバイトのゆうりとまことの兄弟は、彼らの連絡係からちさととまひろのポストを奪えば正規のクルーに昇格できるとのうささ話を聞き、彼女たちを倒そうと作戦を決行するが……

　「ベイビーわるきゅーれ」のヒットにより注目され、熱狂的なファンからも期待される続編、と言う事で、通常ならばスケールアップを考えるであろう所を、阪元監督は、余程自信があるのか、敢えて同じ規模、同じような内容の続編として来ました。
　今回の敵役は、アルバイトの殺し屋兄弟、ゆうりとまことのふたりであり、敵の大きさで言えば、むしろ小さくなっている、と言うのが、逆に挑戦的に思えるほど。そして、このふたりが妙に小物で、尚且つ、ちさととまひろ同様、いつもはユルい話ばかりしてるのも面白いです。
　そして、クライマックスは、伊澤彩織演じるまひろと、丞威演じるゆうりの一騎打ち。２人の体格差と男女差見れば、現実的には一方的な展開になると思われるのですが、伊澤彩織の体術のキレとスピードには、そんなリアリズムを吹き飛ばして納得させるものがあります。
　そんなアクションの妙だけでなく、今回、阪元裕吾は演出でもケレンを見せて来ました。
　このクライマックスは、映画をスケールアップさせるのではなく、進化させるのだ、と言う阪本監督の意気込みを感じました。

　このシリーズ、当然、第三弾も期待されますが、次も、この方向で行くと言うなら、まひろの相手に本場のカンフーの名手を用意して欲しいなぁ……
　

　（２０２３年　４月　８日　ムービルにて）

（作品データ）

　■監督・脚本

阪元裕吾

　■出演

杉本ちさと　・・・　高石あかり
深川まひろ　・・・　伊澤彩織

ゆうり　・・・　丞威
まこと　・・・　濱田龍臣

（その他のキャスト）
　水石亜飛夢　　中井友望　　飛永翼(ラバーガール)　　橋野純平　　安倍乙
　新しい学校のリーダーズ　　渡辺哲

　■コピー

殺しはピカイチ。暮らしはイマイチ。

［戻る］