天間荘の三姉妹

　これは、高橋ツトムの漫画「スカイハイ」のスピンオフ作品である「天間荘の三姉妹−スカイハイ−」を北村龍平監督が映画化したもの。
　主役となる三姉妹を、のん、門脇麦、大島優子が演じています。

　小川たまえは交通事故で臨死状態になり、天界への案内人だと言うイズコに導かれ、「もう一度現世に戻って生きる」か「天へと旅立つ」か自ら決断が出来るまで、天と現世の狭間の町・三ツ瀬にある旅館「天間荘」で過ごすことになる。
　そこには、初めて会う腹違いのふたりの姉と、その母が暮らしていた。その日から、たまえは「天間荘」の一員として働きながら、三ツ瀬で暮らし始める。
　だが、ある日、たまえは三ツ瀬の町とそこに住む人びとの秘密を告げられて……

　この映画ですが、柴咲コウ演じるイズコの「おいきなさい」のキメ台詞に既視感があると思ったら……これ、高橋ツトムの漫画で、２００３年には映画公開もされた「スカイハイ」のスピンオフ作品。
　なるほど、既視感を覚えたのはそのせいか……
　
　映画鑑賞後、原作コミックも１話だけ試し読みしてみましたが、再現度の高さには感心しました――しかし、のんが演じたたまえは、なんと１７歳の設定……まぁ、違和感ないのは立派（？）なのだけど。
　また、この映画、かなり豪華なキャストではあるのだけど、中村雅俊が顔出しだけのちょい役、三田佳子はサングラスで顔を半分隠し、高橋ジョージがカメオ出演して歌まで歌っているのに、その歌声はカットなど、勿体ないオバケが出そうな使い方には感心するやら呆れるやら……

　この物語のテーマは、東日本日本震災への鎮魂となります。あの日の悲劇を忘れず、突然の死を迎えた人々への救いと、その後も生き続ける人々への想いを代弁するような物語は悪くはなく、むしろ、心打つものだとは思うのですが、如何せん、この映画版は、テンポが悪い。この内容で１５０分もあるのです。演出の方も、説明過剰な台詞、察しの悪い観客にも判る、大げさな音楽で盛り上げる号泣演技、と、典型的な邦画演出で、ハリウッドで活動して来た北村龍平監督なのに、これはどうしてしまったのか、と思ってしまいました。　
　

　（２０２２年　１０月２８日　イオンシネマ港北ＮＴにて）

（作品データ）

　■監督

北村龍平

　■出演

　小川たまえ　・・・　のん
　天間かなえ　・・・　門脇麦
　天間のぞみ　・・・　大島優子

　天間恵子　・・・　寺島しのぶ

　イズコ　・・・　柴咲コウ

（その他のキャスト）
　高良健吾　　山谷花純　　萩原利久　　平山浩行　　柳葉敏郎
　三田佳子　　中村雅俊　　永瀬正敏

　■コピー

ひとは生きていく。
いのちよりも長く。

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