いつか、いつも……いつまでも。

　これは、「西の魔女が死んだ」の長崎俊一監督と脚本家・矢沢由美のコンビが贈るラブストーリー。
　出演は、「前田建設ファンタジー営業部」の高杉真宙と「町田くんの世界」の関水渚。

　祖父が院長を務める海辺の診療所で働く医者の俊英の前に、ある日、憧れの女性とそっくりな亜子が現れる。だが、亜子は俊英の理想とはほど遠い、精神的に不安定な”こじらせ女子”だった。
　酒と睡眠薬の大量摂取で昏倒した亜子の様子を懸念した祖父の判断で、亜子は”患者”として俊英一家のもとで暮らすことになり、俊英は亜子に振り回されていくが……

　この物語、反目していた男女が何時の間にか惹かれあって行く……と言うスクリューボールコメディの王道展開。男の方がオタク傾向のコミュ障、女の方が何かと面倒くさいこじらせ女子、と言うのが現代風ではありますが、周囲の賑やかしの人物配置を含め、物語は古風なものと言えるでしょう。
　然しながら、そんな定番設定ながら、物語の方まとまりが悪い上につかみ所がなく、また、男の方はすっきりイケメン、女の方も、こじらせた感情はすぐにほどけて可愛い所を見せてしまい、そんな２人の恋を妨げる障害も、まるで相手にならない有様で、スクリューボールコメディとしても、ひなりが足りない上に先が見えるのが早くて、いささか物足りなく思えたのが正直な所です。

　あと、このキャスト、主演ふたりはいささか若過ぎるのではないでしょうか？
　俊英には女医でドイツ留学中の元婚約者がいて、亜子は嫁ぎ遅れを懸念する母に結婚させられた……と言う設定だと、それぞれ３０過ぎになるように思うのです。
　また、関水渚はちょっと地味目で、俊英が写真１枚で一目惚れした、と言うのに説得力がないように思う……この物語、主演２人が星野源と新垣結衣ならピッタリはまるように思うのですが、どうでしょうか。　
　

　（２０２２年　１０月２０日　イオンシネマ港北ＮＴにて）

（作品データ）

　■監督

長崎俊一

　■出演

　市川俊英　・・・　高杉真宙

　関口亜子　・・・　関水渚

（その他のキャスト）
　水島かおり　　小野ゆり子　　DJ松永（Creepy Nuts）　　佐藤貢三　　中島歩　　江頭勇哉　　芹川藍　　石橋蓮司

　■コピー

家族、はじめました。

［戻る］