君を　　　
愛した　　
すべての
僕へ　　　

　これは、並行世界を描き話題となった乙野四方字の同題ラブストーリーを、タツノコプロの５０周年記念作として、アニメ版「バクマン。」のカサヰケンイチ監督、トムス・エンタテインメント制作でアニメ映画化したもの。
　主演は「ｈｉｓ」の宮沢氷魚と、「朝が来る」の蒔田彩珠。
　
　平行世界の存在が知られるようになった世界で、小学生の日高暦は、両親が離婚した後、父親と暮らしていた。
　ある日父の勤務先で佐藤栞という少女と出会い、二人は互いに恋心を抱くようになる。しかし、親同士が再婚することになり、二人は兄妹にならない運命が約束された並行世界へ駆け落ちしようと決心するが……

　この２作のアニメ映画、どちらを先に観るかで結末が変わる、とされていますが、２本を観ての印象だと、そこまでとは思えませんでした。
　確かに、それぞれ、映画の描く時間軸が異なり、１本では謎が明かされずに、相互が謎への解答をなっています。そんな構成になっているのですが、映画は巧く整理し切れておらず、匂わせる以上の内容を相互に持ち合ってしまっています。それぞれの物語にも、ダイジェスト感はなく、重複個所のしつこさもあって、冗長に感じるくらい。
　これならば、整理すれば１本の映画にまとまりそうで、これを２連作とする事を企画した電通のいささか露骨な仕掛けが気になってしまいました。
　

　（２０２２年　１０月　７日　１０９シネマズ湘南にて）

（作品データ）

　■監督

カサヰケンイチ

　■出演

高崎暦　・・・　宮沢氷魚

佐藤栞　・・・　蒔田彩珠

（その他のキャスト）
　橋本愛　　田村睦心　　浜田賢二　　園崎未恵　　西村知道　　平野文
　水野美紀　　余貴美子　　西岡徳馬

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