これは、東野圭吾原作、福山雅治主演のミステリー「ガリレオ」シリーズ劇場版第３弾。
　劇場版の前２作「容疑者Xの献身」「真夏の方程式」に続き、監督・西谷弘と脚本の福田靖がコンビを組んでいます。湯川のバディ的存在の刑事・内海薫役の柴咲コウは第１作目以来の登場となります。
　また、主題歌を福山雅治と柴咲コウによるユニット「ＫＯＨ＋」が担当しています。

　天才物理学者・湯川学の元に、警視庁捜査一課の刑事・内海薫が相談に訪れる。
　内海の先輩である草薙刑事が、以前担当した事件で完全黙秘し、無罪となった蓮沼が、再び女子学生殺害事件の容疑者となり、今回も黙秘を貫き釈放され、町に戻って来た。町が不穏な空気に覆われる中、夏祭りのパレード当日、蓮沼は殺害された――だが、被害者の関係者には、殺害の動機があるものの、全員にアリバイがあり、そして全員が沈黙していると言う……

　映画冒頭、湯川先生が教授になった事に感慨を覚えてしまいました。
　そんな、ガレリオこと“湯川教授”が、その変人にして天才っぷりを発揮するのが、このシリーズの売りなのですが、この映画の湯川教授、尺の都合とは言え、一気に真相に迫ってしまうので、推理の面白さは減殺されているような……まぁ、この劇場版「ガレリオ」シリーズは、謎解きミステリーと言うよりも、真実を解き明かしたが故の哀しみ、と言うヒューマンドラマに重みを置くのでやむを得ない部分もあるのですが……

　ただ、本作については、いささか物語をひねり過ぎ、しかも、ちょっと切なさに欠けたような感じを受けました。
　勿論、そこは東野原作だけの事はあり、物語は決して悪くはないですし、実力派キャストを揃えただけに見応えもあります。それでも前２作には及ばないかな、と言うのが正直な所です。　
　

　（２０２２年　９月１８日　Ｔ−ＪＯＹ横浜にて）

（作品データ）

　■監督

西谷弘

　■出演

　湯川学　・・・　福山雅治

　内海薫　・・・　柴咲コウ

　草薙俊平　・・・　北村一輝

　蓮沼寛一　・・・　村上淳

（その他のキャスト）
　飯尾和樹　　戸田菜穂　　田口浩正　　酒向芳　　岡山天音　　吉田羊　　檀れい　　椎名桔平
　川床明日香　　出口夏希

　■コピー

沈黙は、連鎖する――それは罪か、愛か。

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