これは、世界三大ミスコンテストの一つ、ミス・ワールドで起きた前代未聞の騒動を映画化したもの。
　出演は「パイレーツ・オブ・カリビアン／最後の海賊」のキーラ・ナイトレイ、「女神の見えざる手」のググ・バサ＝ロー、「ワイルド・ローズ」のジェシー・バックリー。

　１９７０年のロンドン。出産後、子育てをしながら大学に復学したサリーは、女性解放運動の活動家ジョーと出会う。
　彼女が所属する団体では、ミス・ワールド阻止の計画を進めていた。
　一方、ミス・ワールド主催者は、世界各国の美女を集めて開催準備を進めていた。その１人、カリブ海の島国グレナダから参加したジェニファーは、自身の夢を叶えるために出場したものの、白人ばかりに注目が集まる状況に複雑な思いを抱えていた。
　そんな、それぞれの想いが交錯する中、ついにミス・ワールド当日を迎えて……

　女性の権利と地位の向上を求める活動のひとつとして、ミスコンの賛否を描く、この映画ですが、どうにもキレがよくないように思います。
　ミスコンを批判し、「まるで牛の競りではないか」と、女性が家畜のように品評される人権問題と、そのルッキズムについて批判するのですが……そもそも、映画と言う媒体が、女性の美を売り物にしている部分があるのだし、主演のキーラ・ナイトレイにしたって、その美貌を武器にここまで来た訳で、その批判をする立場にあるのかどうか……
　そして、１９７０年のミス・ワールドは、南アフリカも黒人女性を代表として送り出し、結果としてはグレナダの黒人女性ジェニファーがミス・ワールドに輝いたのです――彼女らにして見れば、黒人差別と闘い、権利を得る為の場でもあったのです。
　だからこそ、ミスコン妨害が緊張感とは無縁の弛緩した場面として演出され、映画としては、むしろ、その後の女子トイレで、「（ミスコン出場者の）あなたを非難しているんじゃない」と、言うサリーに、「（黒人の自分が）あなたと同じ権利を得てから話を聞く」と答えるジェニファーと言う、この対峙がクライマックスになっているように感じました。
　
　この映画は、そんな、ルッキズム批判と、それを利用する女性の対峙と言う、未だに続く、そしてどうにも解決が難しい問題を、あらためて提示するもののように思います。　
　

　（２０２２年　６月２４日　Ｋｉｎｏシネマ横浜みなとみらいにて）

（作品データ）

　■監督

フィリッパ・ロウソープ

　■出演

　サリー・アレクサンダー　・・・　キーラ・ナイトレイ

　ジェニファー・ホステン　・・・　ググ・バサ＝ロー

　ジョー・ロビンソン　・・・　ジェシー・バックリー

（その他のキャスト）
　レスリー・マンヴィル　　リス・エヴァンス　　グレッグ・キニア　　キーリー・ホーズ　　フィリス・ローガン

　■コピー

１億人が目撃した、ミスワールド<世紀の瞬間>――

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