これは、コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズを原案とし、ディーン・フジオカ演じる誉獅子雄と、岩田剛典演じる若宮潤一が、唯一無二の名探偵バディとして数々の難事件を解決するフジテレビ系月９ドラマ「シャーロック」の劇場版。
　監督は「容疑者Ｘの献身」「昼顔」などの西谷弘。

　瀬戸内海の離島で、日本有数の資産家・蓮壁千鶴男が、莫大な遺産を遺して変死を遂げる。
　蓮壁千鶴男は死の直前、娘の紅の誘拐未遂事件の犯人捜索を若宮に依頼していた。真相を探るため、獅子雄と若宮は蓮壁家に向かったが、二人を待ち受けていたのは、異様な佇まいの洋館と、犬の遠吠え。そして、遺産相続の為に集まった、個性的な一族の面々。そこで、二人は島に伝わる呪いを耳にする。
　ここで、新たな事件が連鎖し、一人、また一人消えてゆく。底なし沼のような罠におちいる若宮。謎解きを後悔する獅子雄。これは開けてはいけない“パンドラの箱”だったのか？　

　この映画ですが、リアリティのない設定と展開、浮世離れした人物と、その人物の起こす意味不明な行動と思わせ振りなエピソード……それに、説明台詞と説明映像、更に、後だしじゃんけんの大盤振る舞いで、正に観客を馬鹿にしているとしか思えません。
　せめて、「パスカヴィル家の犬」を名乗るのではあれば、ワトソン役の若宮が活躍するべきですが、そんな要素も希薄、それどころか、謎を解くするどころか次々に関係者が殺されると言う無能っぷりを見せる迷探偵コンビ……最後には事件を解決する事もなく、天変地異で関係者全員死亡と言う後味の悪さ。
　こんな脚本を書いたのは誰か、と確認すると、「東山狭」という見慣れぬ名前で、これは、監督の「西谷弘」の別名……？むしろ、あまりの酷さに名前を出すのを躊躇したのでは、とさえ穿って見てしまいます。
　まったく、これはどうしたもんだか……
　

　（２０２２年　６月１９日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督

西谷弘

　■出演

　誉獅子雄　・・・　ディーン・フジオカ
　若宮潤一　・・・　岩田剛典

　蓮壁千鶴男　・・・　西村まさ彦

（その他のキャスト）
　新木優子　　広末涼子　　村上虹郎　　渋川清彦　　山田真歩　　佐々木蔵之介　　小泉孝太郎　　稲森いずみ　　椎名桔平

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