これは、戦争という大きな運命に翻弄される愛の姿を描くメロドラマ。
　出演は、ソフィア・ローレンにマルチェロ・マストロヤンニ。監督は「恋人たちの場所」のヴィットリオ・デ・シーカ、１９７０年の映画になります。
　映画中盤に登場し、タイトルにもなっている一面のひまわりの花が印象的で、これは現在のウクライナで撮影されました。今回、ロシアによる侵攻を受けるウクライナ支援の為、リマスター版が劇場公開されました。

　１９４３年、ナポリ。お針子のジョバンナは、アフリカ出兵の為に招集された電気技師のアントニオと出逢い、恋に落ちた。結婚をすれば２週間の特別休暇が得られる、と２人は結婚式を上げるが、時間はあっと言う間に過ぎて行く。離れ難いアントニオは精神病を装い、兵役を逃れようとしたが、見破られ、懲罰としてソ連軍と戦う東部戦線に送られてしまう……
　その後、アントニオは行方不明となり、音信なく年月は過ぎ、やがて終戦――駅で、復員する兵士の中にアントニオを探すジョバンナは、アントニオの戦友だったと言う復員兵の話を聞いて、ソ連へ出かける決意を固めるのだった……

　これは、第二次大戦を背景としたメロドラマとして名作の誉れも高いものですが、これは相当判り難い映画だと思います――特に、時間経過が全然判らないし、登場人物の行動を説明しないので、ついて行けなくなる事もしばしばです。
　また、名シーンとして知られるウクライナの平原に広がるひまわり畑も、鉄道列車内から撮影した映像は大きく揺れて観賞どころではありません――まぁ、手ぶれ補正など存在しない時代ですから仕方ないのですが……

　ソフィア・ローレンはさすがの存在感ですが、こちらが太陽ならば月のような美しさを見せる、マーシャ役の「戦争と平和」のリュドミラ・サベーリエワも印象に残りました。

　映画は、男たちの愚かさを描くもの、と言ってよさそうです。
　戦争を起こしたのも男たちであり、恋人のアントニオにしても、その出逢い、そして詐病によって東部戦線送りになった辺りも含め、その行動はどうにも行き当たりばったり――それに対し、子供を産み、そして育てる、母の――女の強さを対照とする、と言う構図のように感じました。

　そして、この映画から５０年……またしても、この映画の舞台のひとつとなったウクライナで、戦いが繰り広げられている、と言う事を思う時、この映画が描いていた男の愚かさ、と言うものをあらためて考えさせられます。　
　

　（２０２０年　５月２０日　Ｋｉｎｏシネマ横浜みなとみらいにて）

（作品データ）

　■監督

ヴィットリオ・デ・シーカ

　■出演

　ジョバンナ　・・・　ソフィア・ローレン

　アントニオ　・・・　マルチェロ・マストロヤンニ

　マーシャ　・・・　リュドミラ・サベーリエワ

（その他のキャスト）
　アンナ・カレーナ　　ジェルマーノ・ロンゴ　　グラウコ・オノラート　　カルロ・ポンティ・ジュニア

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