「ブルース・オールマイティ」

　金曜日、仕事納めの日、仕事の緊張感とストレスから解放され、こんな時には気楽なコメディでも、と、疲れた身体を引きずってつきみ野へ。
　でもって、「ブルース・オールマイティ」を観て来ました。

　これは、ジム・キャリーの最新作。
　最近は、シリアスな演技でもって本格俳優としての評価を得つつあるジム・キャリーですが、これは、お得意のコメディ映画。
　久々に、ジム・キャリーのノリノリの個人芸が楽しめるか、と思っていたのですが・・・

　バッファローのＴＶ局のキャスター、ブルース。
　同居中の恋人グレースとの仲は順調だけど、４０を目前とするのに相変わらずキャスター止まりの境遇に不満たらたら。そんな折り、担当するニュース番組の次期アンカーの座をライバルに奪われた挙げ句、ＴＶ局をクビになったブルースは、自分の不運さを呪い、神様にまで八つ当たり。
　すると・・・何と、そんなブルースの前に神が降臨、「じゃ、お前がやってみろ」と、神の力と仕事を授けるのだが・・・

　この映画、ブルースの”不運”ってものが、全然、”不運”に見えないのです。
　ブルースは、キャスターとして、それなりのキャリアもあり、美人の恋人もいる。
　苦労して撮ったレポートがボツになり、アンカーにはなれなかったのは、確かに残念だろうけど、そんなの社会に出て、仕事をしている中では「よくあること」なんじゃないだろうか。
　それなのに、その状況を呪い、辺りに当たり散らす様は、まるで幼児のようで、到底、感情移入出来たものじゃない。
　しかも、「神の力」を手に入れた後のやることと言ったら、これまた己の要求充足ばかりで、その自己中心ぶりには正直、辟易したほど。

　しかし、途中、正に「自分でもやってしまったこと」をブルースがした時に、はっと気づいてしまいました。
　これって、自分も似たようなもんなんじゃないか、って事に。
　そうなると、自分のことを棚に上げてブルースの自己中心さに辟易した自分が嫌になってしまい・・・何とも言えない居心地の悪さを味わうことになりました。

　物語としては、欲求の充足が幸せとは限らない、と言う当たり前の教訓を軸にしたもの。
　そのテーマと、「神」を物語の中心にした故に、映画はちょっと説教臭い部分があり、気楽に笑い飛ばせるような感じではありません。
　これだったら、別にジム・キャリーを主演にしなくてもよかったかな、と言う感じだったかな？

　ただ、私的には、ツボをつかれた感じの映画で、気楽なコメディのつもりで観始めた映画に、思いっきり考え込まされてしまいました。

　（１２月２６日　ＷＭＣつきみ野）

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