アイム・ユア・マン
恋人はアンドロイド

　これは、アンドロイドによる理想の恋人を描くラブロマンス。
　監督はマリア・シュラーダー。主演のマレン・エッゲルトがベルリン国際映画祭銀熊賞（主演賞）を受賞しています。

　ベルリンのペルガモン博物館で楔形文字の研究に従事する古文学者のアルマは、研究資金を稼ぐため、とある企業のモニター試験に参加することに。
　それは、アルマの「理想の恋人」としてプログラムされた男性型高性能アンドロイドのトムをパートナーとして三週間過ごす、と言うもの。トムに課されたミッションはただひとつ“アルマを幸せにすること”。３週間の実験期間で、献身的でロマンチックなトムのアルゴリズムは、過去の傷から恋愛を避けてきたアルマの心を掴むことが出来るのか……？

　この映画、人型ロボット（＝アンドロイド）との恋物語――今となっては、使い古されたネタに挑戦する感もあり、目新しいのは、これまでの多くの物語が、女性型ロボットと男性、と言うものだったのに対し、主人公を女性とし、男性型のロボットとしている辺りでしょうか……
　この取り組みは、それなりに成功しているように思います。ただ、トムがハンサムな男性を模し、また、アルマと共にモニターに参加した年配男性が若くて美しい女性のロボットを連れ添って幸せを語るエピソードなど、ルッキズムに対して無批判であるなど、使い古されたネタをアップデートし切れていない部分もちらほら……

　アロマとトムの関係を、特にコミカルし、そしてロマンチックに描きながら、トムと対比させる生身の男性を登場させないのは、ある種の決断としてありだしても、“理想の恋人”が登場する社会のバックグラウンドや、アロマの過去を描かない物語にはちょっともやもや……
　そして、ドイツ人と言うのは、“恋愛”と言うプライベートな事でさえ、ここまで頑なに、そしてロジカルに、理屈立てないと気が済まないのか、と言う所が、興味深かったり、呆れてしまったり……
　

　（２０２２年　１月１５日　Ｋｉｎｏシネマみなとみらいにて）

（作品データ）

　■監督

マリア・シュラーダー

　■出演

アルマ　・・・　マレン・エッゲルト

トム　・・・　ダン・スティーヴンス

（その他のキャスト）
　ザンドラ・フュラー　　ハンス・レーヴ　　ヴォルフガング・ヒューブシュ　　アニカ・マイヤー　　ファリルー・セック
　ユルゲン・タラッハ　　ヘンリエット・リヒター＝ロール　　モニカ・オシェック

　■コピー

［戻る］