これは、“出会う”事を８年間待ち続けた男を描くラブストーリーで、「ミッドナイト・ランナー」のカン・ハヌルの４年ぶりにスクリーン復帰作となります。

　２００３年。ソウルで予備校に通うヨンホは、夢も希望も持てず、退屈な浪人生活を送っていた。そんなある日、ヨンホは、記憶の中で大切にしてきたある人にあてもなく手紙を出すことに。
　一方、釜山で母親の古書店を手伝うソヒは、姉のソヨンに宛てたヨンホからの手紙を受け取った。病気で全身が麻痺している姉に代わり、ソヒは、質問しない、会いたいと言わない、そして会いに来ないことを条件に手紙を交わす事になる。
　こうしてふたりの文通が始まったが、そんな中で、ソヨンの病状は悪化して……

　姉に代わって妹が文通を続ける……と言う、岩井俊二の映画のような展開のこの映画、やはり韓国映画らしく、最後は思いっ切り泣かせにかかるメロドラマとなっています。
　ただ、この映画、物語の構成がかなり煩雑で、しかも時間軸が輻輳しているので、時に混乱します。
　また、この恋愛劇でアテ馬役となるスジンがあまりに不憫――実際、スジンをヒロインにしても映画が作れそうなエピソードであり、実際、一番泣かされたのが、ヨンホとスジンとのエピソードであったりするのです――あそこで、スジンにオーロラを見せるものだから……

　最後の大晦日の雨のシーンも引っ張りすぎたせいで泣けず、エピローグとして付け加えられた思い出のシーンの裏舞台も、ふたりの運命を描く感動のシーンのはずが蛇足に思えてしまう有様……
　実際、魅力あるラブストーリーで、泣かされもするのだが、それだけにもっと整理して見せてくれれば、と思ってしまいました。　
　

　（２０２２年　１月　５日　Ｋｉｎｏシネマみなとみらいにて）

（作品データ）

　■監督

チョ・ジンモ

　■出演

ヨンホ　・・・　カン・ハヌル

ソヒ　　・・・　チョン・ウヒ

スジン　・・・　カン・ソラ

　■コピー

降るはずのない雨を
　僕は、待ち続けた――

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