マリグナント
MALIGNANT
凶暴な悪夢

　これは、「ソウ」、「死霊館」シリーズのジェームズ・ワン監督による完全オリジナルストーリーのホラー。
　主演は「アナベル　死霊館の人形」のアナベル・ウォーリス。

　妊娠中だったマディソンは、夫のＤＶによって頭を怪我し、寝込んでいる最中、何者かに夫を殺され、彼女も襲われて流産してしまう……それ以来、マディソンは、恐ろしい殺人を目撃する“悪夢体験”に苛まれるようになる。
　だが、彼女が夢の中で見た殺人は、現実世界でも発生していた。
　参考人として警察の捜査を受けるマディソンは、夢の中の殺人鬼の正体、そして、己の封印された過去を解きほぐして行くが……

　この映画、ホラーと言うよりは、モンスター映画、そして、ミステリーでもあります。実際、ショック演出も少なく、びっくりさせ怖がらせるホラー映画らしい演出は控えめで、謎解きでも物語を引っ張る展開で、ホラー映画が苦手な自分でも抵抗なく観る事が出来ました。
　そして、何と言っても、この映画、骨子となるアイデアが素晴らしい。殺人鬼の正体でもあるガブリエルの設定には、もう参った、と言う他はありません。人面瘡や、結合双生児などの症例を取り上げた物語はありますが、これから、ガブリエルと言う“モンスター”を生み出したのは、正にアイデアの勝利。映画に登場した数多のモンスターとしても、ちょっと思い当たるものがありません。
　そんな、アイデア勝負の映画でもあるので、これ以上、ネタバレになるような紹介は避けるが、本当に、これにはビックリ。このアイデアだけでも、充分、この映画を観る価値があると思います。

　また、アクションの得意ナジェームズ・ワン監督だけに、アクションシーンも見せますし、舞台設定もなかなかで、それを凝ったカメラワークで見せるのも魅力。吹き抜けのあるマディソンの自宅構造を活かし、彼女の移動を天井から捉えるカットなどけれん味たっぷりです。

　惜しいのは、これもジェームズ・ワン監督らしい所ではあるのですが、いささか粗さが目立つのと、最後がちょっと楽天的で物足りない事。ラストはもう一捻り欲しかったのが正直な所ですが、これは予想以上に面白い映画でした。　
　

　（２０２１年　１１月１６日　ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜にて）

（作品データ）

　■監督

ジェームズ・ワン

　■出演

マディソン・ミッチェル　・・・　アナベル・ウォーリス

（その他のキャスト）
　マディー・ハッソン　　ジョージ・ヤング　　マイコール・ブリアナ・ホワイト

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