ムーンライト・シャドウ

　これは、吉本ばななの短編小説を、小松菜奈主演で映画化したもの。
　監督は「Ｍａｌｕ 夢路」のエドモンド・ヨウ。

　恋人の突然の死に向き合えず、深い哀しみに打ちひしがれるさつきは、以前耳にした“月影現象”に導かれていく。それは、満月の夜、死者ともう一度会えるかもしれないという不思議な現象だった。
　さつきの前に現われた黒衣の不思議な女性、麗に導かれて夜明けの川に向かったさつきは……

　この映画、原作が短編と言う事もあり、物語としてはシンプルなものなのですが、映画はそれを膨らませる事もなく、イメージシーンで薄めただけの内容。
　そんな希薄な内容だからこそ、手持ちカメラの多用、自然光を多用したアート作品風なカットで、映画ファンの喜びそうな“いい映画”の絵作りをしている所や、無意味な長回し、だらだらと続く台詞もいちいち気に障ります。
　上映時間は９２分なのですが、余りの退屈さと苛立ちに（滅多にないことですが）上映途中に時間を確認、まだ１時間も残っている、と知った時にはさすがにうんざり……

　クライマックスとなるシーンも、月影と言うか既に夜明けだし、そもそも月が出て来ない、と言うのもどうしたものだろう……　
　これで、せめて小松菜奈が綺麗に撮れていれば、それだけでも価値があるものの、それもロクに出来ていない有様で、これはまさしく小松菜奈の無駄遣いではないでしょうか。　
　

　（２０２１年　９月１３日　Ｋｉｎｏシネマみなとみらいにて）

（作品データ）

　■監督

エドモンド・ヨウ

　■出演

さつき　・・・　小松菜奈

等　・・・　宮沢氷魚

麗　・・・　臼田あさ美

（その他のキャスト）
　佐藤緋美　　中原ナナ　　吉倉あおい　　中野誠也

　■コピー

ひとつのキャラバンが終わり、また次が始まる。

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