白頭山大噴火

　これは、韓国で８００万人超えの動員を記録したディザスタームービー。北朝鮮と中国の国境に位置し、「朝鮮民族の揺り籠」として信仰の対象となっている白頭山の噴火による朝鮮半島危機を描きます。
　主演は、ハ・ジョンウ。それにイ・ビョンホンとマ・ドンソクの共演と言う、韓国三大スター共演となっています。
　監督は「彼とわたしの漂流日記」のイ・ヘジュンと、「ＰＭＣ　ザ・バンカー」のキム・ビョンウ。

　白頭山で観測史上最大の噴火が発生し、大震災が発生。北朝鮮は壊滅し、ソウルも大きな被害を受ける。
　未曽有の事態に大パニックに陥る中、政府は白頭山の噴火を予測していた大学教授、カン博士に協力を要請する。カンは、朝鮮半島を崩壊させるほどのさらなる大噴火が起こると予測するが、同時に解決策を示した。それは、白頭山のマグマ溜まりを核爆弾で分散させる事――韓国政府は、壊滅状態にある北朝鮮に潜入して核爆弾を強奪、更に白頭山麓の坑道に潜入して爆破すると言う作戦を立案。
　だが、北朝鮮侵入時に事故で部隊の大半を失い、爆発物処理班のチョ・インチャン大尉が残存部隊を率いて作戦を継続しようとするが……

　これは如何にも韓国映画らしい、やり過ぎなくらい過剰な映画――冒頭の、白頭山の最初の噴火で、ソウルは大被害を受けるのですが、その中で、主人公のチョ大尉は、１０回くらい死にそうな目に遭うのです――もう、これだけでお腹一杯、と言う感じなのですが、この映画、ほとんど最後までこの調子なのですから、もう呆れるしかありません。
　更に、イ・ヘジュン監督と来たら、そんな緊迫感溢れる映画に、機会あれば脱力系のギャグや、ドタバタコメディシーンまで突っ込んで来るのです。

　物語としては、ハリウッドお馴染みのディザスタームービーの様式。事態解決の為、危険な任務に挑む一方で、出産間近の妻を配置して、その出産を、もうひとつのクライマックスにするなど、いささかベタな感じもしますが、これもまた内容山盛りのサービス精神の発露でしょうか。
　しかも、情けない困り顔と、凜々しくシリアスな顔の両方が得意なハ・ジョンウを主人公に、一癖ある工作員をイ・ビョンホンが演じて、掛け合いの面白さを見せれば、豪腕兄貴のマ・ドンソクが大学教授を演じ、腕力を封じた演技に徹するなど、キャストもまたけれん味溢れるものになっています。

　この規模スペクタクルを描き、それでも足りずに盛り沢山のエンターテイメントに仕立てる……いずれにしても、日本映画には最早太刀打ちの出来ないものではないでしょうか。　
　

　（２０２１年　８月２７日　ＴＯＨＯシネマズ川崎にて）

（作品データ）

　■監督

イ・ヘジュン　　キム・ビョンウ

　■出演

チョ・インチャン　・・・　ハ・ジョンウ

カン博士　・・・　マ・ドンソク

リ・ジュンピョン　・・・　イ・ビョンホン

（その他のキャスト）
　チョン・ヘジン　　ペ・スジ

　■コピー

半島が、崩壊する。

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