これは、ディズニーランドの人気アトラクション“ジャングル・クルーズ”をモチーフにしたスペクタクル・アドベンチャー。
　出演は「ジュマンジ」のドウェイン・ジョンソン、「メリー・ポピンズ・リターンズ」のエミリー・ブラント。監督は「トレイン・ミッション」のジャウム・コレット＝セラ。

　第一次大戦中の１９１６年。イギリスの植物学博士のリリーは、アマゾンに伝わる不老不死をもたらす“奇跡の花”の謎を追っていた。
　女性であるが故に探検学会の協力を得られなかったリリーは、弟のマクレガーと共に謎を解く鍵である“矢尻”を盗み出し、アマゾンのジャングルへと向かった。
　リリーが相棒に選んだのは、アマゾン川クルーズ・ツアーの船長フランク。ジャングルを知りつくした、と言う怪しい男だった。
　更に、リリーには、“奇跡の花”を狙うドイツの皇太子の追っ手が迫っていて……

　この映画、冒頭からドタバタとした追いかけっこに終始……ノリとしては、秘境冒険もの、と言うよりもドタバタ劇を見せるスラップスティックコメディです。
　確かに退屈はしないし、お金もたっぷり使っているので見栄えは悪くない……だが、この映画、新味が殆どないのだ。やってる事は、「レイダース」と言うよりも、ほぼ「パイレーツ・オブ・カリビアン」。工夫もひねりもないので元ネタも早々にバレてしまう、と言う体たらく。キャラクター配置も役者の顔ぶれが違うだけで、概ね同じ。舞台が、カリブ海から、アマゾン川になり、呪われた海賊が、呪われた探検隊になっただけ、とさえ言えるでしょう。
　時代設定を第一次大戦中としたのも、悪役をドイツの皇太子とするためだけなのです――せっかく、その時代にするならば、当時大流行していた“スペイン風邪”の治療薬として、万病を治癒する“奇跡の花”を求めている、とすれば、花を求める理由にもなるし、現在のコロナ禍を投影したタイムリーなものになったでしょうに……この映画、全体的にそうした工夫が足りないように思います。

　よかったのは、エミリー・ブラントが魅力的に撮られていた事で、この映画の彼女は本当に美しくてチャーミング。
　また、弟のマクレガーは、ゲイと言う設定で、これはディズニー映画としては相当にチャレンジングな事だけど、物語上で活かされていないのが勿体ない、と言うか、それがディズニーの限界なのかも知れません。　

　前述したように、退屈はさせない映画だし、エミリー・ブラントを見ているだけでも眼福だったのは救いでしたが、ディズニーワールドのアトラクションの中を俳優がドタバタしてるだけのような内容にはいささかがっかりでした。　
　

　（２０２１年　７月３０日　ムービルにて）

（作品データ）

　■監督

ジャウム・コレット＝セラ

　■出演

フランク　・・・　ドウェイン・ジョンソン

リリー　・・・　エミリー・ブラント

（その他のキャスト）
　エドガー・ラミレス　　ジャック・ホワイトホール　　ジェシー・プレモンス　　ポール・ジアマッティ

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