Cｒｕｅｌｌａ
クルエラ

　これは、ディズニーアニメ「１０１匹わんちゃん」のヴィラン、クルエラの誕生秘話を描く物語。
　監督は、「アイ,トーニャ　史上最大のスキャンダル」のクレイグ・ギレスビー。

　’７０年代のロンドン。幼くして母を亡くし、ボリスとホレーシュの２人の孤児と共に、ストリートキッズとして育ったエステラは、何時の日にかファッッション・デザイナーになる事を夢見ていた。
　苦労の末、有名デパートに就職したエステラだが、学のない彼女は、下働きとしてコキ使われるだけの日々が続いていた。
　だが、カリスマデザイナー、バネロスとの出会いがエステラの運命を大きく変えていく……

　クルエラを演じているのは、エマ・ストーン。正当派美人を少し外れた彼女には、こう言う一癖ある役が似合います。ボリスとホレーシュも、元々の手下と言う存在を超え、かけがえのない仲間で、頼れる相棒となっているのもいい。
　また、本作で敵役となるバロネスを、エマ・トンプソンが演じ。強烈な存在感を見せています――このバロネスの下で、クルエラがてんてこ舞いするのには、「プラダを着た悪魔」を連想してしまったり……

　この映画、”最凶ヴィラン”誕生秘話――と言う事なのですが、その内容は、孤児の少女が仲間と新しい家族を作り、母の仇でもある悪党をやっつけて夢をかなえる、と言うプリンセスストーリー……って、これでは、話もキャラクターも変わってしまっているのではないでしょうか？
　クルエラと言えば、ダルメシアンの皮を剥いでコートを作ろうとするヴィランなのですが、本作のクルエラ、母の仇の飼い犬のダルメシアンを殺すどころか可愛がって、最後には、ブリーディングして子犬を知人に配っているのですから。

　この改変は、さすがディズニー、と言うべき所なのでしょうか？
　確かに、「眠りの森の美女」のヴィラン、マレフィセントをヒロインにしたのと同様ですし、新たなクルエラは、魅力あるキャラクターになってはいるのですが……やはり、ディズニーに「ジョーカー」は作れないな、と思わされた映画です。
　

　（２０２１年　６月　２日　イオンシネマ座間にて）

（作品データ）

　■監督

クレイグ・ギレスビー

　■出演

クルエラ・デ・ヴィル　・・・　エマ・ストーン

ボリス　　　 ・・・　マーク・ストロング
ホレーシュ　・・・　ポール・ウォルター・ハウザー

バロネス　・・・　エマ・トンプソン

（その他のキャスト）
　ジョエル・フライ　　エミリー・ビーチャム　　カービー・ハウエル＝バプティスト

　■コピー

白黒つけるのは、私。

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