これは、「ミュータント・タートルズ」のヒロイン、ミーガン・フォックス主演のサバイバルアクション。
　ミーガン・フォックスは本作で傭兵隊長のサムを演じ、ガンアクションに初挑戦。監督は「サイレントヒル：リベレーション３Ｄ」のＭ・Ｊ・バセット。

　南アフリカのサバンナで、サム率いる傭兵部隊は、誘拐された知事の娘を救出するためにテロリストらの拠点を襲撃。知事の娘ら人質の奪還には成功したものの、テロリストの反撃による、脱出用のヘリを撃墜され、多くの仲間を失って、命からがら廃墟に逃げ込んだ。
　だが、そこは放棄された“ライオン牧場”だった。
　サムと傭兵たちは武器・弾薬も乏しい中、追って来るテロリストの前にライオンに襲撃されて……

　この映画、アフリカを舞台にしたミリタリー・アクションかと思いきや、Ｍ・Ｊ・バセット監督が描きたかったのは、“ライオン牧場”に代表される、アフリカの観光ハンティングなど野生動物ビジネスの暗部だとは……その内容としては、先日観た「ミアとホワイトライオン」の暗部を、非道に、露悪的に描くもので、基本的にアクションである本作とは噛み合わせがよくないように思いました。

　まぁ、そんなテーマ設定については譲ったとしても、ストーリーにはもう一工夫欲しかった所。
　ライオン牧場のライオンが、檻から逃げ出したものの、牧場跡地に留まる理由……それが、子供のライオンの救出だとするのはアイデアですが、それならば、その雌ライオンと、女性ながら危険な戦場に身を投じるサムを重ねる工夫が欲しかった所です。
　それなのに、この映画と来たら、そんな雌ライオンや、人質だった少女、テロ組織の内通者であるマサイ族の男などに過去のドラマを用意しているのに、主人公のサムのバックグラウンドを描かないのですから……

　でも、そんなサムを演じたミーガン・フォックスは悪くない、なかなかいい面構えを見せて、傭兵たちのボスぶりも様になっています。
　Ｍ・Ｊ・バセット監督の演出も、アクションはテンポよく、暗闇の中でライオンに襲われると言うホラーチックな演出では冴えを見せてはいます。だが、それでも主人公がドラマを持たないのでは、そこに「物語」は生まれず、観客も感情が動かされる事は無いのではないでしょうか。　
　

　（２０２１年　５月１５日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督

Ｍ・Ｊ・バセット

　■出演

サム／サマンサ・オハラ　・・・　ミーガン・フォックス

（その他のキャスト）
　フィリップ・ウィンチェスター　　グレッグ・クリーク　　ブランドン・オーレ　　ジェシカ・サットン　　ケネス・フォク

　■コピー

最悪を生き抜け。

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