ラブ・セカンド・サイト
はじまりは初恋の終わりから

　これは、「ＭＩＳＳ　ミス・フランスになりたい」のプロデューサーでもあるユーゴ・ジェラン監督が、自ら製作・監督・脚本を務めたＳＦチックなラブ・ストーリー。
　主演は、「ウルフズ・コール」のフランソワ・シヴィル。

　高校時代に出会って結婚したラファエルとオリヴィアは結婚１０年目を迎える。高校時代から小説家を目指していたラファエルは、今や注目のベストセラーＳＦ作家となった一方、オリヴィアは、ピアニストとなる夢を断念、小さなピアノ教室を開き、子供たちにピアノを教える日々を過ごしていた。ある日、ラファエルとのすれ違いの生活に孤独を感じていたオリヴィアは我慢の限界に達し、ラファエルに想いをぶつけるが、その想いはもう届かない。
　翌日、目覚めたラファエルは、出会う人々の様子がおかしいことに戸惑う。そこは、オリヴィアはラファエルと出会わずに人気ピアニストとなっており、ラファエルは中学の国語教師になっている別の世界。ラファエルは何とか元の世界に戻ろうとするのだが……

　この話、設定としてはパラレルワールド＆歴史改変ものでなかなか面白いです。
　出会いと偶然が人生を変える――ラファエルとオリヴィアの出会いは、ラファエルの人生をよい方向に導く一方で、オリヴィアの才能を埋没させるものでした。
　そこで、別の世界で、別の人生を生きる羽目になってしまったラファエルは、オリヴィアから気持ちが離れている事もあり、彼女を踏み台に元の世界に戻ろうとする……まぁ、このドタバタは面白いと言えば面白いのですが、如何に個人主義のフランス人とは言え、ラファエルの「自分さえよければ」と言う自己中心的な行動原理、これにどうにも納得出来ずでした――実際、終盤、高校時代からの親友からも見放されてしまうのも当然のクズっぷりを見せるのですから。

　勿論、ラブストーリーだから、こちらの世界でも同様にラファエルはもう一度オリヴィアと恋に落ちるのですが……それまでオリヴィアを支え、彼女の成功をサポートして来た婚約者から、オリヴィアを略奪する形となるラストにも納得出来ず、ラファェルの自己中心さだけが気に障る結果となってしまいました――ここは、愛する人がその望む人生を送る事を望む、と言う結末でもよかったのではないか、と思うのですが……　
　

　（２０２１年　５月　８日　Ｔ−ＪＯＹ横浜にて）

（作品データ）

　■製作・監督・脚本

ユーゴ・ジェラン

　■出演

ラファエル　・・・　フランソワ・シビル

オリヴィア　・・・　ジョセフィーヌ・ジャピ

（その他のキャスト）
　バンジャマン・ラベルネ　　カミーユ・ルルーシュ　　アマリー・ド・クレインクール　　エディット・スコブ

　■コピー

“愛”を知ること。
　それは、
　“愛”すること。

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