ＴＨＥ　ＧＥＮＴＬＥＭＥＮ
ジェントルメン

　これは、ガイ・リッチーが製作・監督・脚本・原案を務めたクライム・サスペンス。
　主演は、マシュー・マコノヒー。共演は、「キング・アーサー」のチャーリー・ハナムの他、コリン・ファレル、ヒュー・グラントら曲者が顔を揃えました。

　紳士の街・ロンドンの暗黒街で、一代で大麻王国を築き上げた“マリファナ・キング”ことミッキーが、大麻ビジネス全てを譲って引退すると言う……買い手はアメリカのユダヤ系大富豪マシューだ。
　５００億円とも言われるミッキーの大麻利権を手に入れようと、チャイニーズ・マフィアも動き出す。更に、ゴシップ紙の編集長、怪しい私立探偵、街のチンピラから、ロシアン・マフィアまでもが入り乱れて……

　最近、「シャーロック・ホームズ」に、実写版「アラジン」とメジャー大作が続き、ケレン味こそあれど随分と大人しくなったガイ・リッチーが、久々に見せる彼らしい映画で、かつての「スナッチ」を彷彿とさせます。
　軽妙な語り口と、コメディ色のある犯罪映画ですが、これだけの豪華キャストを揃え、そして、「スナッチ」からの２０年ものキャリアの積み上げで見せるのは、最早名人芸と言っていいでしょう。物語としてはシンプルなのですが、入れ子構造にして語り口に面白みを持たせ、芸達者なヒュー・グラント演じる怪しい私立探偵に話を膨らまさせて、観客を煙に巻く。洒脱な台詞の応酬に、見せ場としてのアクション、そして、名優それぞれの持ち味を引き出して見せ場を作る配慮……と、最早、風格さえ感じさせる出来映え。

　マシュー・マコノヒーは、洗練された物腰に秘められた凶暴さを持つミッキーと言う男を好演。愛妻家、と言う設定も効いています。一方、物語最後のドンデン返しを仕込む、“コーチ”を演じるコリン・ファレルは、持ち味とは異なる野暮ったさを見せて印象的でした。

　やはり、ガイ・リッチーの持ち味はこのくらいの規模の映画で活かされます。原点回帰と言う評があるのにも納得の、久々にらしさを堪能出来た映画でした。　
　

　（２０２１年　５月　７日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■製作・監督・脚本・原案

ガイ・リッチー

　■出演

ミッキー／マイケル・ピアソン　・・・　マシュー・マコノヒー

レイ　・・・　チャーリー・ハナム

ロザリンド・ピアソン　・・・　ミシェル・ドッカリー

マシュー　・・・　ジェレミー・ストロング

（その他のキャスト）
　ヘンリー・ゴールディング　　エディ・マーサン　　コリン・ファレル　　ヒュー・グラント

　■コピー

一流の、紳士<ワル>たち。

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