これは、「悪人伝」のマ・ドンソク主演のアクション・サスペンス。
　本作のヒロインは「カンナさん大成功です！」のキム・アジュン。監督は、「鬼はさまよう」のソン・ヨンホ。

　囚人たちを乗せた護送車が襲撃され、その混乱の中、服役囚が逃げ、行方をくらませてしまう。
　逃亡犯を捕まえるため、警察上層部は、かつて特殊部隊を率いた元警察官のオ・グタクに指令を出し、刑務所に収監中の服役囚たちを集めた特殊部隊「特殊犯罪捜査課」を再始動させる。
　オ・グタクは、かつての特殊犯罪捜査課のメンバーで、拳一つでソウルを掌握し、“伝説の拳”と恐れられる暴力団の用心棒パク・ウンチョルに加え、頭の切れる女詐欺師のクァク・ノスン、犯人を拘束死させた過失致死の罪で収監中の暴力警官のコ・ユソンを新メンバーに、新たなチームを結成。彼らの減刑を条件に、逃亡犯を追い詰めていく……だが、事件の背後には謎の組織の暗躍があって……

　ハリウッド進出が決まったマ・ドンソクの新作映画を装いますが、本作は２０１４年のテレビシリーズの映画版で、本国では２０１９年に公開されたもの。単独作として成立してはいるものの、主人公を始め、主要登場人物は既知のものとして描かれており、また、対立関係が案外込み入ってるせいもあって、冒頭暫くは話を飲み込めず、物語について行けなかったのが正直な所です。

　ＴＶドラマの映画版と言う事で、幅広い観客層を意識したせいもあり、韓国映画としては暴力描写は甘め。その一方で、映画「シン・シティ」風の人物紹介や、シリアスな脱出シーンにブッ込んで来るギャグなど、様々に工夫を凝らして見せてくれるので楽しめます。
　そして、勿論、主演、マ・ドンソクの魅力たっぷり――絶対絶命の危機に、ドンソク兄貴がハンマー片手にのっしのっしとやって来る、その圧倒的なカッコよさと頼もしさは、最早、ゴジラ級だと言っていいでしょう。
　冒頭のミシンとの格闘に始まり、ラストの大乱闘、最後はラスボスとの一騎打ちまで、期待通りの大活躍です。

　尚、本作の悪玉は、何と山口会系のヤクザ……朝鮮半島を足がかりに大陸進出、と言う、その企みには、豊臣秀吉以来の日本のネガティブイメージを見せつけられたようで、気になる人は気になるかも知れません。　
　

　（２０２１年　４月１８日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督

ソン・ヨンホ

　■出演

パク・ウンチョル　・・・　マ・ドンソク
オ・グタク　　　　　・・・　キム・サンジュン
クァク・ノスン　　　・・・　キム・アジュン
コ・ユソン　　　　　・・・　チャン・ギヨン

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