これは、「女神の見えざる手」のジェシカ・チャステインが、女暗殺者に扮したアクション。
　監督は「ヘルプ　心がつなぐストーリー」のテイト・テイラー。

　完璧な容姿と知性と、高い戦闘能力を兼ね備えた暗殺者エヴァ――だが、彼女は「なぜ標的たちは殺されるのだろうか」と疑問を抱くようになる。
　中東でのミッションで、エヴァは、正体に気づかれ銃撃戦を繰り広げる羽目に陥った。辛くも生き延びたエヴァは、情報漏れを疑い、組織への不信感を募らせていく。
　一方、組織の幹部サイモンは、エヴァを危険と見て処分しようとし、彼女の上司であるデュークと対立して……

　本作は、ハリウッドで作ったリュック・ベッソン映画、と言う印象……内容が荒唐無稽なのは、アクションを見せる映画故、仕方ない部分はありますが、それならば、もっとアクションの出来る、活きのいい若手を使って派手に仕立てるべきでしょう。
　ジェシカ・チャスティンを始め、キャストが無駄に豪華で、しっかり芝居も出来る俳優を揃えた故、その芝居を見せる為にテンポは悪くなるし、その癖、物語には語るほどのドラマがありません……と言うか、あれこれエピソードは盛り込まれているのですが、どうにもドラマを盛り上げられない感じなのです。
　それでは、とアクションを見せようにも、ジェシカ・チャスティンは小柄で華奢だから、どう見せても派手なアクションは説得力のあるものにはなり得ないのです。

　本作で、悪玉を演じたのはコリン・ファレルで、彼はアクションもしっかり出来る俳優だけど、相手がジェシカ・チャスティンか、古希を迎えるジョン・マルコヴィッチでは、弱い者イジメの感が出てしまって気の毒です――まぁ、それはそれで悪役故、仕方ない部分はあるのですが。

　監督も、キャストも悪くなく、これは製作費だって結構かかっていそう……それでも、こんな事になってしまうんだな、と思わされる映画です。

　（２０２１年　４月１７日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督

テイト・テイラー

　■出演

エヴァ　　 ・・・　ジェシカ・チャステイン

サイモン　・・・　コリン・ファレル

デューク　・・・　ジョン・マルコヴィッチ

（その他のキャスト）
　コモン　　ジーナ・デイヴィス　　ヨアン・グリフィズ　　ジョアン・チェン

　■コピー

彼女は反逆する。

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