ラスト・フル・メジャー
知られざる英雄の真実

　これは、ベトナム戦争の知られざる英雄の真実に迫る実話を基にした社会派ドラマ。監督・脚本は、「白い嵐」の脚本を手掛けたトッド・ロビンソン。
　主演は、セバスチャン・スタンですが、本作は脇を固めるキャストが超豪華。これが遺作となってしまったクリストファー・プラマーにピーター・フォンダ。そして、ウィリアム・ハートにエド・ハリスと名優がずらりと顔を並べています。

　１９９９年、国防総省に勤務する空軍省のハフマンは、３０年以上も請願され続けるも却下されてきた、ある空軍兵士に対する名誉勲章授与の再調査を行うことになる。
　空軍省長官の辞任に伴う人事異動までの繋ぎ仕事として、気の乗らないまま調査を始めたホフマンだが、退役軍人たちの話を聞くうちに、名誉勲章の授与を阻んでいた“不都合な真実”を知る事になり……

　物語は、ある兵士の勇気ある行動に勲章が与えられなかった理由を、ミステリー風に辿っていくヒューマンドラマとなっています。
　ただ、ミステリー風ではあるのだけど、これは決して謎解きがテーマではありません。
　ひとりの若者の見せた勇気、そして献身が、多くの兵士の命を救い、アメリカの名誉を守った――国家は、その勇気と献身に全力で応える義務があると言う事。そして、公僕として、その務めを果たし、国民の信頼に応えるのがその義務であり、正義である、と言うメッセージは感動的です。

　”戦場における名誉”が題材となっている事から、軍の正当性化と戦争の美化を謳うものと言う批判もあるでしょうし、いかにもアメリカらしい映画と思うかも知れませんが、この映画が描く、国民と国家の間に築かれるべき「信頼」とは、そうした正義感から生まれるとするこの物語は、世界に共通するテーマを持っているのではないでしょうか？
　そんな、国民と国家との信頼関係が、この国にもあるとよいのですが……　
　

　（２０２１年　３月１３日　横浜ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督・脚本

トッド・ロビンソン

　■出演

スコット・ハフマン　・・・　セバスチャン・スタン

（その他のキャスト）
　クリストファー・プラマー　　ウィリアム・ハート　　エド・ハリス　　サミュエル・L・ジャクソン　　ピーター・フォンダ
　ジェレミー・アーヴァイン　　ダイアン・ラッド　　エイミー・マディガン　　ジョン・サヴェージ

　■コピー

戦争の英雄はなぜ３０年間も封印されていたのか？

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