これは、プエルトリコを襲った巨大ハリケーンの中、アパートに押し入った強盗団と対峙する事になった警官らを描くアクションサスペンス。
　主演は「イントゥ・ザ・ワイルド」のエミール・ハーシュ。共演にメル・ギブソンと、「ブルー・クラッシュ」のケイト・ボスワース。監督は「庭から昇ったロケット雲」のマイケル・ポーリッシュ。

　カテゴリー５の超巨大ハリケーンが、プエルトリコの首都サンファンに接近する中、地元の警察官コルディーロは、避難もせずアパートに籠ろうとする元警官の頑固な老人、レイの説得を続けていた。
　ところが、そこに、アパート内の“お宝”を狙って武装した強盗団が押入って来た。超巨大ハリケーンによって脱出不可能な極限状態に追い込まれたコルディーロとレイは、生き残りをかけたバトルに身を投じてゆく……

　この映画、宣伝上はメル・ギブソンを前面に押し出す宣伝がされていますが、作品的には主演はあくまでエミール・ハーシュ。もっとも、ヒロインのケイト・ボスワースもそうですが、何れも“かつての人気俳優”で、そんな俳優を集めたＢ級作品と言うのが実際の所でしょう――メル・ギブソン＋コロナ禍による作品数減少がなければ拡大公開など覚束なかった映画の筈です。

　作品としては、やや古臭い感もあるアクション・サスペンスで、事実上のワンシチュエイションもの。それなのに、アパートの構造や、強盗団の人数など、サスペンスを盛り上げるべき設定を活かしきれず、攻防戦のスリルは希薄。その癖、最後のオチだけは、原題と冒頭の伏線で見え見え、と言う……展開の不自然さや、出血多量で意識混濁していた人物が何時の間に元気になっているなど、ご都合主義的な部分も散見され……そんな所もＢ級と言う印象です。
　しかも、ウリとなっているカテゴリ−５のハリケーン来襲と言う設定をまるで活かせていないのには正直呆れます……あれでは、メル・ギブソン演じるレイの言う通り、「そよ風」ではないですか！
　

　（２０２１年　３月　７日　川崎チネチッタにて）

（作品データ）

　■監督

マイケル・ポーリッシュ

　■出演

コルディーロ　・・・　エミール・ハーシュ

トロイ　・・・　ケイト・ボスワース

レイ　・・・　メル・ギブソン

（その他のキャスト）
　デヴィッド・ザヤス　　ステファニー・カヨ　　ウィル・キャトレット

　■コピー

全部、蹴散らせ！

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