UNDERDOG
アンダードッグ
後編

　これは「百円の恋」の監督・武正晴、脚本家・足立紳ら製作陣が再集結して製作したベテランボクサーを巡る人間ドラマの、劇場版後編になります。
　主演は森山未來。共演に北村匠海。

　宮木との試合で、素人同然の宮木に圧倒された晃は、ジムのオーナーからも見放されてしまった。
　デリヘル店も、女の子をライバル店に引き抜かれて経営に窮し、しかも、店の稼ぎ頭の明美は実の娘の美紅をＤＶで殺しかけて逮捕されてしまう。
　そんな中、過去の因縁で失明しかけ、ボクサーを引退すると言う龍太が、引退試合の相手に晃を指名して……
　
　この映画ですが、後編に至って、漸く晃の物語となって行きます――基本的に何をしたらいいのか判らないダメ人間の晃を追い込み、彼の人生のぜい肉を次々に削ぎ落し、クライマックスとなるリングに向かわせる展開は、正にボクサーが肉体を絞り込んでいくような感じで、ボクシング映画として見応えがあります。

　クライマックスとなる試合シーンの迫力もなかなかです。
　森山未來のダンサーとしてシェイプアップした肉体はボクサー姿に説得力を与えますし、北村匠海に「死んだような目」という設定の龍太は正にハマり役。２人共動きはいいし、格闘技ものを得意とする武正晴監督の、ボクサーに肉薄するカメラワークにも迫力があります。

　これは面白い物語……とは言え、前後編で３００分ともなる上映時間はさすがに長く、劇場での一気はさすがに疲れました。　
　

　（２０２０年　１１月２７日　イオンシネマみなとみらいにて）

（作品データ）

　■監督

武正晴

　■出演

　末永晃　・・・　森山未來

　大村龍太　・・・　北村匠海

　宮木瞬　・・・　勝地涼

　明美　・・・　瀧内公美
　美紅　・・・　新津ちせ

（その他のキャスト）
　熊谷真実　　水川 あさみ　　冨手麻妙　　萩原みのり　　　　友近　　秋山菜津子　　芦川誠　　二ノ宮隆太郎　　上杉柊平
　清水伸　　坂田聡　　徳井優　　佐藤修　　山本博　　松浦慎一郎　　竹原慎二　　風間杜夫　　柄本明

　■コピー

無様に輝け。

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