ジョン・Ｆ・ドノヴァンの死と生

　これは、カナダの俳優で、監督としても活躍する、グザヴィエ・ドラン、初の英語作品となる映画。
　グザヴィエ・ドラン自身が、８歳の頃にレオナルド・ディカプリオにファンレターを書いたと言うエピソードが物語の元になっていると言います。
　出演は「ボンペイ」のキット・ハリントンと、「ワンダー 君は太陽」のジェイコブ・トレンブイ。

　２００６年。人気俳優ジョン・F・ドノヴァンが謎の死を遂げる――その１０年後、新進俳優ルパート・ターナーが、少年時代にドノヴァンとやりとりしていた“秘密の文通”を元にした本を発行。更に、手紙の公開を行うと言う。ジャーナリストのオードリーは、「全てを明かす」と言うルパートの宣言に応じ、プラハで彼のインタビューをすることになるが……

　この映画、グザヴィエ・ドラン監督の得意とする、「母と息子」がテーマとなります。
　ハリウッドに進出し、初の英語作品に挑んだものの、主要な登場人物を演じていたジェシカ・チャスティンが途中降板し、彼女の出演シーンは全て削除された、と言う製作の混乱などもあって、評判は散々だったと言います――その為、２０１８年に製作されたにも関わらず日本公開がここまでずれ込みました――ただ、映画としては決して悪くないです。
　確かに、二組の母子を描写、しかも、２つの家族と２つの時間軸を交錯させながら描くので、まとまりの悪さ、と言うか煩雑さを感じる部分もありますし、この辺りには製作の混乱の影響も出ているのでしょう。
　それでも、名優を起用し、締める所はぴしっと決めている辺りはさすがですし、後味も決して悪くありません。
　
　むしろ、初の英語作品でありながらも、自身が大事にするテーマを貫き、自分らしい映画が撮れた事だけでも大したものではないでしょうか。
　これは次の作品が楽しみです。　
　

　（２０２０年　３月１５日　ＹＥＢＩＳＵ ＧＡＲＤＥＮ ＣＩＮＥＭＡにて）

（作品データ）

　■監督・脚本

グザヴィエ・ドラン

　■出演

　ジョン・F・ドノヴァン　・・・　キット・ハリントン

　ルパート・ターナー（８歳）　・・・　ジェイコブ・トレンブレイ
　ルパート・ターナー（１８歳）　・・・　ベン・シュネッツァー

　オードリー・ニューハウス　・・・　タンディ・ニュートン

（その他のキャスト）
　ナタリー・ポートマン　　スーザン・サランドン　　キャシー・ベイツ　　マイケル・ガンボン

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