Ｕｓ
　　　アス

　これは、「ゲット・アウト」のジョーダン・ピールによるスリラー。
　主演は、「それでも夜は明ける」のルピタ・ニョンゴ。

　１９８６年、幼いアデレードは両親と遊園地へ出かけ、ミラー・ハウスに迷い込む。その鏡の迷路に映っていたのは自分とそっくりな少女だった。
　そして現在。夫と、２人の子供と共に、当時の家を訪れたアデレードだが、幼い頃の記憶が彼女の不安をあおり立てる。
　その夜、気配を感じて外を見ると、自分たち家族と同じ姿格好の４人が玄関の前に立っていて……

　ジョーダン・ピール監督の前作「ゲット・アウト」も、“一番怖いのは人間”と言う映画でしたが、これまた人の業が生むスリラー。
　ネタバレになっているので詳しくは書きませんが、これもまた格差社会を描くもので、人は生まれた環境で、その後の生き方が変わってしまう、と言う事をテーマとしています。
　これは、ジョーダン・ピール監督が、少年時代、地下鉄構内で暮らすホームレス家族を目にし、自分がそこに生まれたら、或いは、そこで育った子供と入れ替えられてしまったら、と妄想して恐怖したのが根底にある、と言うのですが……映画は、その“入れ替わり”の恐怖が案外あっさりとしている印象を受けました。
　また、中盤のスプラッター描写（これがあまり怖くない……ギャクも入っていささかブラックジョーク的なものとなっているせいでもあるのですが）に尺を取るくらいなら、もうひとつの世界と入れ替わってしまったが故の孤独と恐怖を描いた方がよかったようにも思いました。
　ただ、今や無視出来ないまでに拡大した格差問題を組み込んだ物語は秀逸で、何者か？という問いに、もうひとりの自分が返した“答え”が本作の核心であるように思います。　
　

　（２０１９年　９月　６日）

（作品データ）

　■監督・脚本

ジョーダン・ピール

　■出演

　アデレード・ウィルソン　・・・　ルピタ・ニョンゴ
　レッド　・・・　ルピタ・ニョンゴ

（その他のキャスト）
　ウィンストン・デューク　　エリザベス・モス　　ティム・ハイデッカー　　シャハディ・ライト・ジョセフ
　エヴァン・アレックス　　カリ・シェルドン　　ノエル・シェルドン

　■コピー

「わたしたち」がやってくる

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