これは、ＴＶドラマ「深夜食堂」シリーズを手がけた荒井美早によるオリジナル脚本を、父で「映画芸術」誌編集長でもある荒井晴彦企画のもとで映画化したもの。
　監督は相米慎二監督の弟子筋に当たる斎藤久志が務めています。

　祖母の遺した古いアトリエでコラージュ作品を手掛ける岡崎夢鹿は、自身の虚無感を埋めるために男漁りを続けているが、一度寝た男とは二度と寝ない。
　そんな夢鹿の美大時代からの友人である高野十百子は、ある出来事がきっかけで極度の潔癖症となり、男性のセックスを拒絶し、夢鹿にしか触れることができないでいた。
　ふたりの友人である吉田貴也は夢鹿への想いを捨てきれないまま、堅実に生きようと努めていた。
　学生時代は仲がよかった３人だが、月日が経ち、社会に出て少しずつバランスが崩れて行き……

　この映画、観念的かつ濃密なエロスに彩られた男女の三角関係を描くと言う、如何にも荒井晴彦が好みそうな内容で、てっきり荒井晴彦の脚本かと思っていたけれど、これが娘の荒井美早の脚本とは――ただ、物語は難解そうに見えてそうではなく、“セックス”の裏表を描く、と言うものでしかないのでは、と思えました。
　自分的には、こうした人の心を生々しく描く映画は嫌いではないですし、３人の関係性を変化させながら最後までサスペンスを繋いで見せる、風変わりな恋愛映画として成立していると思います。

　Ｗ主演の縄田かのんと中神円は何れも映画初主演だそうだけど、惜しげもなく裸身を晒し、激しいカラミも見せています。縄田かのんの見事なグラマラスボディに、日本人女性らしい中神円のしなやかな肢体と、対照的なヌードと濡れ場もたっぷり観られて眼福、ではありました。　
　

　（２０１９年　５月１８日　シネマジャック＆ベティにて）

（作品データ）

　■監督

斎藤久志

　■出演

　岡崎夢鹿　　 ・・・　縄田かのん
　高野十百子　・・・　中神円
　吉田貴也　　 ・・・　三浦貴大

（その他のキャスト）
　藤原隆介　　利重剛　　内田春菊　　クノ真季子　　柄本明

　■コピー

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